わかりやすい腰痛ブログ−5:《ゴリラ歩き》でも腰は痛くない?
“腰痛ブログ−3:腰を前に曲げると痛い? それとも後に反ると痛い?”の中で、《体を後に反らすと背骨の腰の部分の一番下の骨、つまり背骨の一番下とお尻の奥にある骨盤(こつばん)のつなぎ目の関節の右か左の骨のすぐ横がズキーンと鋭く痛い》という方がいらっしゃると申しあげました。
この中の「《右か左》という部分が気になったが、両方が痛いというケースはないのか? 私は痛いのだが…」、あるいは「昔は、一方の側の方が反対側よりもずっと痛かったが、そのうち両方が痛くなって今にいたる」といった内容のご質問が数人の方々から届きました。
このテーマは重要なことなのですが、その先が少し複雑だったこともあり、話の混乱を避け、あえて触れずに終えてしまったのです。
今回は、両方が痛いまま放っておくと、あるいは専門家からその場の痛みだけを解消してもらった場合、腰痛がどういう経路をたどっていくかお話させていただきます。
キーワードは、《ゴリラ歩き》!?
今回も専門用語無しで施療で効果を得た経験をベースにいたしております。
安心してお付き合いください。
ひとつは、適切な根本解決までみすえた施療を受けた場合。
当院の施療例で申しあげるならば、《片側ではなく両側が同じ強さで痛いとおっしゃる方のほとんどはその部分の感覚が少し鈍くなっていらっしゃるだけで、感覚が戻るとたちまちどちらか一方だけ、あるいはそちら側の方がずっと痛いとおっしゃるように》なります。
適切な専門家や当院、火水流整体術院の施療をお受けいただいたばあいには、《片側だけが痛くなったり、痛みが集中した場合、あるいは左右差や上下差が強くなったケースでは、基本的に悪い方だけへの施療を1回から数回お受けいただいてから、特殊なストレッチやエクササイズをご自身で行っていただくことで、お体のバランスまでをも回復》していただき、完全改善とどうじに再発防止も完璧な状態となる。
もうひとつは、その痛みの解消や改善だけの施療を受けられ痛みが軽減したからと満足する。
あるいは、専門家の施療は受けずに、精神力、いわゆる気力や気合や根性(死語?)で我慢しつづける。
つまり、そのままお体のアンバランスな状態や、痛みさえをも放置しておいた場合。
悪化するどころか、良くなったと錯覚させられるような経過をたどることが多くあるのです。
じつはこれが大問題。
腰の部分やお尻の部分の感覚は、じょじょにではありますが、より鈍(にぶ)くなり、とうとう腰痛が治ったと思い込んでしまうほど痛みを感じなくなることが多々あります。
その頃になってくると、ご家族や会社の同僚、友人・知人など身近な方々から「歩き方が何となく変だ」とか「ゴリラみたいに歩いている」と思われる始めるようです。
でも、ご本人にはまったく気にならない。
等身大の鏡に自分自身をうつしてじっくりと体を観察する機会もなければ、ショーウインドーにうつっている自分の歩く様子を首と体を横にひねって見続けるなどということはしないから。
このゴリラ歩きが習慣(?)となる方の大部分である男性で、ご自身の全身を鏡にうつしてじっくりと見たり、ショーウインドーで歩く姿勢を観察する方はいらっしゃらないでしょう。
何よりも、痛みを感じなくなっているうえ、長年の腰痛が完治したと思い込んでいるのですから、腰の様子や、まして姿勢など気にするはずがありません。
まわりの人たちだって、ほとんどの方はすぐにその歩き方を見るのに慣れてしまい、ある種の個性と思い込んでしまうのか、何も言ってくれないというのが一般的なパターン。
《ゴリラ歩き!?》になる原因はシンプルでわかりやすいのです。
姿勢を正しくまっすぐにして大またでゆったりと、つまり歩幅(ほはば)を大きくというか、正しい歩き方をすると、足が前後するたびに骨盤も左右の部分が前と後ろの逆方向へと回りながら動く。
お尻と腰が強制的に動かされてしまうのです。
動かすと痛みが生じるので、無意識のうちにこの2つの広い部分へと刺激を与えたくないと感じる。
結果、お尻と腰を動かさないゴリラ歩きになってしまったというわけ。
動かさないでいれば、そのときは良くても、その部分の硬(かた)さはどんどんと増し、よりいっそう硬くなってしまいます。
広い範囲で硬くなったままの筋肉たちは、筋肉や細胞のライフラインと言っても過言ではない血管やリンパ管を圧迫することで疲労物質がたまったままにする。
つまり、新しい酸素も栄養もその部分に届かないように管に渋滞を引き起こしてしまうのです。
どうじに、間接的に神経を圧迫してもっとひどい腰痛を引き起こす…
その頃になると、完治したはずでも実際には息をひそめて隠れていた痛みはその度合いをアップして襲いかかってくることになります。
私の場合は、信じられないほどの常に感じる痛みと、正直に申し上げれば、数回に渡って自らの命を断ちたくなったほどの、鋭く長い刃物を刺し込まれ続けるような痛み、そして右脚の麻痺(まひ)による転倒。
最近では有名になってきた、100mも歩かないうちに足が前にでなくなってしまうが、でも腰を丸めて座っていると、ほんの5分ていどでまた歩けるようになるという間欠跛行(かんけつはこう)など最初の頃が当たり前にでていました。
個人的体験談は他の記事に詳しいので、ここでは割愛いたしますが、ゴリラ歩きが数年続いた後に起きた結果は、思い出したくもないほど悲惨をきわめたものだったのです。
《ゴリラ歩き》をご家族やご友人・知人から指摘されたことがある方、そして腰を反(そ)らせて少し前かがみでがにまたで歩いているとご自身で気付いていらっしゃる方。
とくに、以前腰が痛かったのに最近は痛くなくなってきた気がする方は、できるだけ早く当院か専門家にご相談なさるようおすすめ申しあげます。
また、偉そうにするつもりはないのに、気が付くと電車やバスの中で、大またを開いて大きく脚(あし)を組んでいるとか、座席に寄りかかるように背中を丸めて両脚をガニマタに開いてだらっと座っているとお感じの方も間違いなく腰痛の予備軍。
火水流整体術院、またはお近くの専門家にご相談いただければと思います。
当院では、ご本人以外、ご家族からのご相談もお受けいたしております。
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