体の歪み(=ひずみ=ゆがみ)の正しい調整法って?−Ⅰ
お体の“歪(ゆが)んでいる”、あるいは“歪(ひずみ)がある”と感じていらっしゃる方は多くいらっしゃいます。
その歪(ゆが・ひず)みが原因となって、腰痛や肩こりなどを引き起こすケースも多くあります。
歪みを“改善する”、“調整する”、“矯正(きょうせい)”、あるいは“バランスを取る”ことについて、当院がとても大切に考えていることをお話させていただきます。
理由は、そこに大きな誤解があると感じているから。
今回は骨以外の部分を伸ばす、いわゆるストレッチについて皆さまとともに考えていく予定です。
弱っている部分にたいするトレーニングに付いては別の機会があればということにさせてください。
このテーマ、少し誇張して考えるとわかりやすいのではないでしょうか?
「体を左右おなじように使いたいならば、左右おなじだけのストレッチをすると、逆に左右のアンバランスをよりひどくしてしまう」と…
歪みということになると細かくなってしまいますので、初めに“左右のアンバランス”という状態を考えてみましょう。
私はいくども経験がありますが、皆さまは「骨折や肉離れ、あるいはケガなどで、片方の脚が使えなくなったり、使えても反対側とおなじには使えなくなった経験をおもちでしょうか?」。
ギプスをしたり、包帯で添え木をあてて固定されたり、包帯でグルグル巻きで動きにくくされたりして不便を感じたことはありませんか?
数週間、松葉杖(まつばづえ)を使ったとしたら、あるいは片足を引きずりながら移動していたとしたらどうでしょう?
若い方でもある程度の年配の方でも、使わなかった方の脚、とくに太ももやふくらはぎが信じられないほど細くなってしまっていたはず。
ここからが本題。
ギプスや固定していたものをはずして、日常生活に戻っても良いとお医者さんから許可がでました。
でも、こんな時、弱った脚を回復させるために、両脚で立ったりしゃがんだりの、いわゆるスクワットをするでしょうか?
明らかに左右の力の差を感じているのに…
弱ってしまった脚だけ、曲げ伸ばしを繰り返したり、動かしたり、もしかしたらじょうぶな方の脚を上げ弱い方の脚で立つようなトレーニングをなさるはず。
あるいは、病院のリハビリの先生からそのように指導されるかもしれません。
脚を鍛えるのに良いからといって、両脚でスクワットをできなくなる限界までおこなう方はいないはず。
ストレッチもこれと同じなのです。
やるべき脚は逆となりますが、片脚がつかえないときに、そちらの脚の分まで頑張って働いてくれていた脚だけ。
ちなみに、このことを専門的には代償動作(だいしょうどうさ)と呼びます。
必要以上の重労働を強いられて、疲れきって、強い張りや疲労感やだるさやコリやムクミなどを感じている脚だけにストレッチをするのです。
ここまでは、皆さま、十分に理解してくださいます。
でも、体のバランスをととのえるためにストレッチをしようと考えたばあいには、つい左右均等におなじ回数で伸ばしていませんか?
ケガの回復の後でのリハビリのときだけではなく、ふだん運動をするばあいでも、お体のバランスの調整が目的のばあいには、硬(かた)くて動きが悪くなったり、動く範囲がせまくなっている方だけを、あるいはそちらをより多くストレッチしていただきたいのです。
理由は、人間の体は部分部分がお互いに自分自身を犠牲にしてでも、仲間を助けてしまうから。
そのために、片方の脚が痛いとかばって歩きつづけていると、しばらく後になると、健康でじょうぶだった方の脚の方が悪くなることが多くあるのです。
このように、じょうぶな部分が悪くなった部分をかばったために悪くなるケースはとても多くあります。
そして、当院のお客さまの中にも多くいらっしゃる。
当院の施療でさいしょにおこなうのは、さまざまな原因や理由によって硬(かた)くなったころで、骨の動きや関節の動き、そして筋肉の動きをじゃましている骨を包んでいる膜(まく)や筋肉やその表面の膜などをやわらかくすることです。
→ どのようなテクニックが使われるかご興味をお持ちの皆さまはこちらへ
場合によりますが、もし大きな筋肉がかたまりのようになって神経を押しているケースでは、ゆるめるだけで脚の裏を走る痛みやお尻の刺すような痛みが消えてしまうことも多くあります。
実は、《痛みを改善したり、手足やお体ぜんたいの動かせる範囲を広げたり、あるいは動きやすくするためには、弱いところを鍛(きた)えるよりも、硬(かた)くなっているところを柔らかくする方が、即効性があるし、そのうえ効果的》だからなのです。
セミプロの整体師時代もふくめて35年以上に及ぶ施療経験では、このことを強く感じつづけてきました。
もちろん、高齢者や手術後の安静が長くつづいた方などのリハビリをさせていただくケースでは、特殊なやり方を使って瞬間的に硬(かた)いところを柔らかくし、その柔らかくなっている反応が残っているうちに、お体の動かなかった部分を動かしていただきます。
これにより、そのときだけの柔らかさをお体に覚えこませてしまうのです。
健康ではないと言いながらも、日常生活を送っていらっしゃる方のばあいには、やはり硬くなってしまっているところを伸ばして、動く範囲をじゅうぶんに確保することが優先となってきます。
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(“体の歪み(=ひずみ=ゆがみ)の正しい調整法って?−Ⅱ”につづきます)