施療と講習会でのストレッチング指導の違いは?(含 代償動作)

Q.

じっさいの施療を受けたときのストレッチングの指導と講習会で教えておられる内容には、どのような違いがあるのか教えていただきたい。
できれば、両者のメリットとデメリットを明確にお願いしたい。

A.

施療時と講習会時でのストレッチングにおいて、基本的な内容に違いはありません。同じものです。

 
プロのセラピストの方々向けの講習会では、筋肉の一部分に対するストレッチング法や特殊な手法をお伝えしマスターしていただいておりますので、施療時だけでご指導申し上げる技法というものはございません。


ふだんの施療において当院で用いる種類のストレッチングは全て、講習会でご指導申し上げられます。


そして、ストレッチングは左右対称に、つまり左右に対して同じように行う方法をご指導申し上げております。また、セルフストレッチングの講習会においても同様です。


これは、健康な方々を対象としているためです。ある筋肉の中の1点を弛(ゆる)めるようなストレッチングやあまりにも細かい筋肉へのストレッチングは行ってはまいりませんでした。


理由は、そのようなストレッチングを希望なさる参加者の方がいらっしゃらなかったので講習会を行わなかったにすぎません。


もっとも、一般の方はそのようなストレッチングの存在さえもご存知ないので、あたりまえと言えばあたりまえですが…


当院主催のストレッチングの講習会は大きく2つの種類に分けられます。


ひとつは、ひとつひとつの筋肉を対象としたり、そのひとつの筋肉の一部を狙ったり、あるいは数個の筋肉をまとめて伸ばす方法を学ぶもの。


これは、自分以外の人間に行うパートナーストレッチングという方法とご自身に対しておこなうセルフストレッチングの2つに分かれます。


もうひとつは、お体の問題点、例えば腰が痛い、お尻が痛い、足首の動きが悪い・痛い、腕が動かしにくい、とくに原因はないのに疲労が抜けない等々、具体的なお体の問題にたいする対処法をご説明申し上げるものです。


違いは用いるストレッチングの種類やその実施方法にあるのではなく、問題のあるヶ所だけにたいしておこなうのか、あるいは筋肉全体に対して、はたまた左右両方に対しておこなうのかという点にございます。


ですから、繰り返しにはなりますが、基本的に講習会と施療時では、ストレッチングの内容に差異はございません。


ただし、施療時にはお体の良い状態を維持していただくための必要最低限、つまりできるだけ少ない数のストレッチングを行っていただくよう工夫しております。


反対に講習会では、多くの異なるストレッチングを関連付けることにより、最小の努力でできるだけ多くの技法を身につけていただくよう心がけております。そして、左右対称に行えるようマスターしていただいております。


少しご質問からは外れますが、当院の施療時にはなぜひとつひとつの筋肉にたいしてストレッチングを行おうとしているのか、そして可能であるならば、そのひとつの筋肉のうちの硬くなっている部分やポイントだけの硬さを改善しようとしているのか説明させていただくことにいたします。


以前、このテーマについて、ご質問をお送りくださったり、施療中に疑問をいだかれる方が多かったためです。


施療時に“再発防止”を目的としてご指導申し上げているストレッチングはスタティック・ストレッチングと呼ばれる、30秒から40秒間のお体の力を抜いたまま伸ばす、セルフストレッチングが中心となります。


そして「最大の特徴は、硬(かた)くなっている筋肉、あるいはその一部分だけを伸ばす」点にあるのです。


つまり、左右対称に伸ばすというものでもありませんし、硬くなっている部分と柔軟性(じゅうなんせい)がある、つまりしっかりと伸びる部分を分離できるならば分離し、必要な部位だけを伸ばす施療を実施しております。


また、そのようにご指導申し上げるよう努力いたしております。これは当院で施療時に実施させていただいているストレッチングと同じ考えによるものなのです。


可能かどうかは別にして、あくまでもコンセプトと申しますか当院の筋肉施療に対する考え方としてお読みください。


代償動作(だいしょうどうさ):大切な問題

もしある筋肉が硬くなってしまって、縮んだり伸びたりがじゅうぶんにできない状態になっているといたしましょう。その筋肉は自分が行うべき作業というか、仕事ができなくなっているのです。

 

一方、関連筋(かんれんきん)と呼ばれる仲間の筋肉たちは、自分の本来の仕事以外に、その作業も余分に行ってくれるています。ですから、100%満足できる結果とはいかなくても、あるいは周りから見て少し不自然だと思えるような形となっても機能的に問題が生じないレベルで処理してくれるのです。


たとえば、足の内側の方にケガをしていちおうは治ったけれど、まだ痛いなどという場合には、無意識のうちに足首を動かさずに、足の外側だけを軽くつくようにして歩きます。脚全体を引きずって歩いてしまいますし、他の人から見ていわゆる“足のどこかをかばって歩いている”とわかってしまいます。


このように、仕事の本来の担当者というか責任者が直接仕事ができなくなると、手際も悪いし、やり方も間違っているのですが、仲間が何とかや仕事を行ってくれるので、形だけは何とかなるのです。もちろん、結果に多少の不満は残りますが…


代償動作(だいしょうどうさ)と呼がれるものなのですが、これでは、代わりに仕事をしてくれている筋肉たちには大きな疲労がたまってしまいます。


仲間のために慣れてないことを無理して頑張ってしまうからなのです。
ですから、できるだけ早く動きが悪くなったことで本来の作業ノルマが果たせなくなっていいる筋肉を元の健康な状態へと治してあげないとダメなのですね。


では、体のある部分が硬くなって動かなくなってしまった筋肉とその仲間の筋肉をまとめて同時にストレッチングしたらどうなるでしょうか?


悪い状態で硬くなってしまっている筋肉よりも代償動作を行ったために少し疲れてしまった筋肉、つまりより健康に近い状態の筋肉だけが柔らかくなってしまう可能性が高いのです。


悪い筋肉はほんの少ししか回復しないということなのです。そして、また仕事仲間の関連筋たちがサポートをするという悪循環の繰り返しにおちいってしまう…


これを1つの筋肉の中で見てみましょう。何らかの理由で筋肉の一部分だけが硬くなってしまっているばあいですが、どうなるのでしょうか?


あくまでも可能性の問題ですが、硬(かた)い部分はそのままで、それ以外のだいぶぶんを占めている健康で少しだけ疲労している部分が伸びてくれるはず。


もちろん、健康な部分が悪い部分をサポートしてくれるので動作は先ほどの例のように周りの関連筋に迷惑をかけないですむでしょう。でも、筋肉の一部分だけが使えにくいという状態は動きを作り出すためには、やはり不自然なのです。


そこで、当院では可能な限り、問題の筋肉だけを個別にストレッチングするようにしているのです。

 
そして、ひとつひとつの筋肉に対しても、もちろん可能な限りという条件付きではありますが、硬くなっている部分だけを、そしてできるだけその部位だけをピンポイントで伸展(しんてん:ストレッチング)するよう心がけているのです。


ひとことで申し上げるならば、「施療で行うストレッチングにおいては、硬くなっている筋肉を個別にストレッチングすることで、本来の機能を取り戻させる。そして、個別の1つの筋肉の中でも、できれば硬くなっている部分だけをストレッチングする」ということになるでしょう。


もっと簡単にお伝えするとしたら、『悪いところだけを狙ってストレッチングを行う』ということになります。


ちなみに、代償動作(だいしょうどうさ)と呼ばれるこの不自然な動作さえ見つけられればその原因の発見はひじょうに楽になってきます。この点に付いて興味をお持ちの方は、以下のリンクをご参照ください。

→ 施療時の動きのチェックとはどのようなものですか?

 

余分なお話までお付き合いいただきありがとうございました。ちょっと、話が混乱してしまいましたので、ここでもう一度お答え申し上げます。


施療の再発防止でご指導申し上げるストレッチングは、ピンポイントでひとつの筋肉、あるいはその中でもある部分やあるポイントに効くものを伸ばす対象としているものが中心。


そして、なるべく少ないヶ所を少ない種類の、それも簡単なやり方のストレッチングで伸ばしていただくよう工夫いたしております。


講習会やセミナーでは、筋肉の特定のヶ所にひどい硬さや縮みがない健康な方々が対象ですので、左右対称に実行していただくように説明させていただいております。


時間が許す範囲内でという条件は付いてしまいますが、ひとつの筋肉に対してできるだけ多くの異なるやり方、つまりバリエーションも覚えていただくことで色々なケースで対処できるようご指導申し上げることをモットーといたしております。


そして内容は参加者の方々のご希望により、多くの筋肉を同時にストレッチングするのか、ひとつひとつを対象とするのか、あるいはひとつの筋肉を部分的にあるいは点で伸ばすのかは決定させていただいております。


ご自身で正しくストレッチングを実施しているのに「ある特定の筋肉、あるいはその一部分、またはごく小さいポイントの硬(かた)さを解消できない」。
「その筋肉の関係すると思われる関節の動きが悪いような気がする」。
「左右の動きの差が大きすぎる」。
などでお困りの方はいらっしゃいませんか?


筋肉の一部分が硬くなっているのに他の軟(やわ)らかい部分にだけにしかストレッチングの効果が及んでいない、または関節の中の目に見えない部分での骨同士の動きが悪くなっている可能性があります。


自身のご努力をむだにしないためにも、そしていっこくも早く問題点をご解消なさるためにも、当院までご連絡ください!


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