骨盤(こつばん)の“ゆがみ”って何?

≪骨盤の歪(ゆが)み≫ということばを聞いたことがある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?

言葉だけが独り歩きしている感のある≪骨盤の歪(ゆが)み≫ですが、この記事では専門的なこまかい数多くの分類と症状はさておき、もっとも話題にされることが多いタイプの歪(ゆが)みに付いて紹介させていただきます。

40年近くと整体に年数だけは長く従事してきた、もちろんスタートは伝統的な整体であり、その様々な技術を教えていただいたり探求してきた経験が豊富な人間の記すものですので信じていただいて大丈夫(!?)

とは言え、一般の方向けの記事ですのでシンプルで分かりやすい説明をこころがけますので、安心して気楽にお付き合いください。

昔の整体というか、明治期に始まり今まで独自の発展を遂げてきた“日本の伝統的な整体”を受けたことがある方なら、「あなたの足(=脚:あし)は、右が、(あるいは)左が短い!」などといった、にわかには信じがたいショックなというか、インパクトがありすぎることを言われた経験をお持ちの方は多くいらっしゃるはず。

≪左右で脚の長さが違っている≫というのは、一般的というかポピュラーというか、一番多いタイプの≪骨盤の歪み≫のこと。

仙腸関節・寛骨・仙骨名称入りオリジナル掲載用.jpg

原因は、骨盤の中にある左右一対の、仙腸関節(せんちょうかんせつ)という部分のどちらか片方か、あるいは両方に問題があるということ。

左右に1つつのこの小さな関節の動きのアンバランスを調整するだけでたちまち両脚の長さは同じになるのです。

このタイプの≪骨盤の歪(ゆが〉み≫とは、骨盤のどこがどうなっていることなのでしょうか?

最初に申し上げた通り、“もっとも代表的で、かつ見た目にもわかりやすく、そして腰痛や骨盤の痛みやお尻の筋肉の痛みなどなくてもほとんどの方がズレている”というこのタイプの骨盤の歪みに付いての解説となります。

脚長差:大転子から外果までの長さ骨格模型.jpg

≪左右で脚の長さが違っている≫≪片方の脚(あし)が短い≫という言葉の本当の意味は、

「脚の骨の長さは同じだけれど、骨盤に歪み、正確には左右の仙腸関節がアンバランスになっている」ということ。

これを伝えるために使われ続けてきた伝統的な口上に過ぎない。

実際の脚の長さが違うわけではないのです。

参考のために正しい脚の長さの測り方を写真で掲載させていただきましたが、測る場所はかんたんに見つかります。

立った状態で太ももの付け根の横を触って、骨のグリグリが見つかったらそこが計測のスタート地点

そのグリグリの頂点から足首の真横にある外くるぶしの一番出っ張っているところまでの長さが脚(あし:正確な漢字は“足”ではなく“脚”)の長さ。

この長さが左右の脚で同じなのに、なぜ骨盤が原因で、それも仙腸関節とかいうところのアンバランスで脚の長さが左右で違っているように見えてしまうのか?

おなじ歪みが再発しないようにその根本原因を改善するのは時間がかかるという意味で大変なのですが、その場で元に戻して正しい状態に矯正(きょうせい)するのも、またその理由を言葉で説明するのはとても簡単*

*簡単なだけではなく、多くの異なる理論にもとづく様々なスタイルの矯正(きょうせい)法が存在しており、当院の個人セミナーでは数え方により数は違ってしまいますが、8〜9種類の異なる矯正(≒調整)法をプロ向けにご指導申し上げた経験がございます。

ほとんどの場合、真ん中の仙骨(せんこつ)に対して両側に付いている寛骨(かんこつ)のうちの片側が前に回って(≒傾いて)いて、その反対側の寛骨が後ろに回って(≒傾いて)いる*ように見えているのです。

*ニッチなことを申し上げて恐縮ですが、厳密に言うと、問題のある仙腸関節側の寛骨だけが回っているケースの方が多いが、両側の寛骨がそれぞれ前後逆方向へと回っているケースもあるというのが当院の見解です。

ちょうど、真ん中にあるはばが広くて短い鉛筆を立てたように見える仙骨(せんこつ)が動かないと仮定すると分かりやすいかもしれません。

その両側で象の耳の形をした大きな骨である寛骨(かんこつ)がパタパタと左右で前後逆方向へと倒れるイメージで回る。

寛骨(かんこつ)には分かりやすく出っ張った部分があり、そのデッパリを左右で比べて見ると、足首に問題がない限りは、≪出っ張りがウエスト側、つまり頭側に上がって見えてしまう寛骨が前に回っている側の足のつま先が頭側に上がって見えるため、そちら側の脚が短く見える。逆に、骨の出っ張りが尾てい骨側、つまり足先側に下がって見える寛骨が後ろに回っている側のつま先は下がって見えるので、そちらの脚は長く見える。≫ということ。

PSISと脚の長さ(典型的足首に問題無し)31歳男性(色の違いは光の加減で同一人物の写真).jpg

すでにお話させていただいた≪骨盤の歪(ゆが)みの中でもっとも多いタイプの“骨盤の左右の骨である寛骨(かんこつ)が左右でそれぞれ逆方向へと回っている”というケース≫の中でも、またダントツに多いのが、出っ張りに分かりやすく丸いシールを貼らせていただいた写真のケース。

10人中9人はこのタイプの歪みの持ち主で、そのまた10人中9人は、≪骨盤の右側の骨が前に回っていて、左側が後ろに回っている見えるケース = 右足(正確には、右脚)が短く、左足(正確には、左脚)が長く見えるケース≫だと言えましょう。

ちなみに、骨盤が歪んでいない本来の状態であれば、あるいは矯正(きょうせい)や調整をした直後の状態であれば、この左右2つの骨の出っ張りは、同じ高さで並んでいることになります。

記事用31歳男性足関節右ルーズで右足長く見える.jpg

≪脚の長さは太ももの付け根横の骨のグリグリから外くるぶしまでの長さ≫であるともすでに申し上げましたが、足のつま先ではなくくるぶしの位置でチェックするというのはこの横の写真のように、骨盤の出っ張りが上にあるように見える側の外くるぶしは上に上がっていて脚が短く見えるのに、捻挫(ねんざ)を何度も何度も繰り返したためゆるんでしまった足首のせいでつま先は下に下がっていて一見長く見えてしまうケースもあるというのが横の写真を掲載させていただいた理由です。

もし、脚の長さをチェックなさる場合には、外くるぶしの位置で判断していただきたくお願い申し上げます。

もちろん、今回ご紹介したわかりやすい骨盤の歪み以外にも、仙腸関節の歪みやアンバランスにはたくさんの種類がありますし、また仙腸関節が大丈夫でも全体が傾いたりたりねじれたりというケースも数多くあり、それぞれに原因があり、当然ですが、それらひとつひとつの状態を改善するためのこまかい施療技術がございます。

仙腸関節についてもっとくわしく知りたい方は以下の記事をご参照いただければと思います。

⇒ 仙腸関節とは−Ⅰ:骨盤のどこにあるの?

⇒ 仙腸関節とは−Ⅱ:骨盤の歪(ゆが)み?

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