仙腸関節とは−Ⅰ:骨盤のどこにあるの?
この記事の目的は、
≪もともときわめてマニアック(?)な関節であったのに、現在ではなぜか健康雑誌やテレビの健康番組などを中心に一般的に名前だけが知られてきた仙腸関節≫
について 気楽に読んでいただけるようわかりやすくお伝えすること。
今まで耳にしたことがない骨の名前なども出てきますが、“読めばわかる”のでご安心いただければと思います。
腰痛で施療をお受けいただくお客さまには、動作チェックの後に関節内部機能回復調整法を用いて最初に仙腸関節の数方向への動きを調整させていただくのが当院の施療手順。
施療後には、持参した小型の骨格模型(こっかくもけい)と折りたたみ式の大きな骨格図を利用してその場所をお知らせし、どういう理由で仙腸関節に対して何をさせていただいたのか、ご説明申しあげております。
今回の記事では質疑応答ができませんので、当院の骨格アシスタント模型氏の骨盤の2枚の写真に関連する骨2つと骨盤の歪(ひず)みの原因となる仙腸関節の名前を書き加えたものをUPいたしました。
写真を参考になさりつつお付き合いいただければと思います。
骨盤の左右外側に1個づつある蝶(ちょう)の羽根のように大きな骨が寛骨(かんこつ)という骨。
2つの寛骨(かんこつ)にはさまれていて、一見三角形にも見える短いエンピツのような形をしていてデコボコしたまん中に1つ目立っている骨が仙骨(せんこつ)。
ちなみに、その仙骨の下にくっ付いて3個から5個の骨がひとつの骨になったためボコボコと伸びている細い骨が尾骨(びこつ)という名前が付けられている骨。
私たちが尾骨(びていこつ)とよんでいる骨になります。
真後ろから撮った写真ではちょうど腸骨に隠れてしまい見えませんが、赤い楕円で囲んだ部分の奥が仙腸関節(せんちょうかんせつ)。
腸骨と仙骨で作られているのが仙腸関節ですので左右に1つづつあるのです。
なぜ仙寛関節(せんかんかんせつ?)と呼ばれないかというと、この寛骨(かんこつ)がちょっとめんどうな過去を持つ骨だから。
私たちみんな、子供の頃には、寛骨という骨を持っていなかったのです。
代わりにあったのが、腸骨(ちょうこつ)、坐骨(ざこつ)、恥骨(ちこつ)という片側3つ、左右両側では合計6つの別々の骨。
その片側に3つある骨が思春期にアルファベットの『Y』の字のようにくっ付いてひとつの寛骨(かんこつ)という骨になるというわけ。
くっ付く場所は、脚(あし)の付け根の関節である股関節(こかんせつ)の骨盤側の凹(へこ)みの部分(=寛骨臼:かんこつきゅう)。
ということで、寛骨(かんこつ)という骨の名前は正しいのですが、いかんせん寛骨は大きすぎるため、骨盤の中での位置がはっきりとわかるように、寛骨を構成している腸骨(ちょうこつ)、恥骨(ちこつ)、坐骨(ざこつ)という3つの骨の名前は解剖学の中で使われつづけているのです。
仙腸関節(せんちょうかんせつ)は、仙骨と寛骨のもと腸骨だった部分で作られている関節なので、
仙骨の≪仙:せん≫と腸骨の≪腸:ちょう≫という2つの骨を表す文字をつなげて関節の名前にされた*ということ。
*実際には、Sacro(仙)+Iliac(腸)+Articulation(関節)などの外国語からの翻訳であり、元々の名称が2つの骨の名称をつなぎあわせて作られたのでしょう。
関節の名前の作られ方がおなじでわかりやすいのが膝(ひざ)の関節。
解剖学での正式名称は脛骨大腿関節(けいこつだいたいかんせつ)なのですが、膝関節を作る2つの骨の名前である脛骨(けいこつ:けられると痛いスネの骨)と太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)の名前をつなげて作られているのです。
今回はだいぶマニアックなテーマでしたが、骨盤のどこにあってどんな骨たちに囲まれているか大まかなイメージをおもちいただけたでしょうか?
次回は≪骨盤の歪(ゆが)み=仙腸関節のズレと動きの悪さ≫という当院での考え方をご紹介申しあげます。