脚を組むことや横座りやオバサン座り、なんでダメなの?−その3
前回その2の “*”のところでご紹介申しあげたように、一般的に女性は脚の付け根を内側へと捻(ひね)るのは得意ですが、外側へと捻るのは苦手な方が多いのです。
男性はその逆。脚の付け根を外側へは捻りやすいけれども、内側へは苦手という傾向が見受けられます。
そのような理由で、次に登場する、おばさん座り、トンビ座り、女の子座り、割座(わりざ)、ぺったんこ座りなど、多くの呼び名をもつ座り方はほとんどの男性が苦手としているのです。
この座り方、両脚の付け根をどうじに内側へとほぼ限界まで捻(ひね)ったうえ、その状態を体重をかけながらキープしつづけるのです。
無理はあたりまえですね!
骨盤の中にある女性特有の内臓に悪影響があるという説もありますが、ここでは関節への影響に限ってお話させていただきます。
この座り方をつづけていると、骨盤の中にある関節に強い力がかかるために、その関節の動きがにぶくなってしまう可能性があります。
“お尻の骨の中にある、動きは小さいけれども、前後・上下・左右という3Dのどの方向へも滑らかに動かないといろいろな問題を引き起こしてしまう2つの関節”の動きのどれかを悪くしてしまうということなのです。
この2つの関節が注目されるようになってから20年以上は経ちましたが、この関節の動きの悪さこそが、腰痛をはじめとする痛みや多くの動作をできなくしている原因だといわれています。
もうひとつ大きな問題だと思われるのは、もともとは前後方向にしか動かない関節である曲げ伸ばし専用の膝(ひざ)の関節への影響。
スネやふくらはぎがある膝から下の部分は、内側へも外側へも捻ることはできません。
また、外側へも内側へも曲げることも不可能。
このポーズは、膝から下の部分を外側へと無理矢理捻(ひね)らせてしまうし、ひとによっては膝を外側へと曲げさせてしまうこともあるというのが問題なのです。
人によっては、この姿勢を取ろうとしただけで膝の内側が痛くなってしまいます。
膝を動かない方向へと動かそうという力が働く座り方ですから、考えてみれば当たり前かもしれません。
脚の付け根に問題はなかったとしても、この座り方はやめて欲しいと思います。
膝から下を無理に捻ったり横に曲げるという点から考えると、このことに気付かずに行っている動作があることをご存知でしょうか?
それは、片脚で立って靴下をはくこと。昔はこれが若さの印(しるし)だなんて言われたことがありました。
高齢者の方々が得意気にやっていらっしゃいましたが、中には膝のお皿の真ん中とつま先が同じ縦のライン上になく、膝がつま先よりもずっと内側に入ってしまっている方も…
とくに筋肉が少なくなっている高齢者の方々はこの習慣(?)だけでも、膝をいためてしまう可能性は高いのです。
たとえ若くても、膝を曲げて腰を落としたときに膝がつま先よりも内側に入る傾向がある方は注意してください。
膝のお皿の真ん中がつま先の真上にあれば問題はありませんが、《爪先より膝が内側に入っている》のも、《爪先より膝が外側に出ている》のも、両方共に膝をこわす方向へと体重がかかるということをお伝えして今回の記事を終わらせていただきます。
→ “脚を組むことや横座りやオバサン座り、なんでダメなの?−その1”はこちらへ
→ “脚を組むことや横座りやオバサン座り、なんでダメなの?−その2”はこちらへ
とくしゅな競技スポーツや運動や武道などをなさっていらっしゃる方以外は、なるべくお体を左右対称に保つように注意なさってください。
片方の肩だけにショルダーをかけたり、いつも同じ手でカバンやバッグをさげている。
同じ側でつい脚を組んでしまう。横座りしてしまう。
少しでも思い当たることがある方は、ご自身の全身を鏡やショーウィンドウなどに写して首の傾きや両肩の高さの違いや胴体の傾きや両脚への体重のかかりかたの違いなどをチェックする癖をつけてくださるようお願いいたします。
いつも体の片側ばかりを使っていると感じたら、正反対に体を使ってみることから始められてはいかがでしょうか?
お体に左右差があっても、その状態で問題なく生活なさっていらっしゃったり、プロのアスリートとして活躍なさっていらっしゃる方々はたくさんいらっしゃいます。
それほど、気に病む必要はありません。
でも、もしお体の片側ばかりケガをなさったり、こったり、だるくなったり、あるいは片側だけいくつかの動作がやりにくかったり、できなかったりというばあいには、専門家のチェックや施療をお受けいただくようおすすめいたします。