腰ってひねれるの?−1
先日、当院の施療をお受けいただいたお客さま。
“痛みは少なく日常生活だけならば精神力でじゅうぶんに我慢できるていど”とおっしゃる腰の痛みでご予約。
専門のお医者様の診断ではとくに問題はないはずの腰痛ではないとのこと。
コンスタントに行なっている数種類の運動はしばらく休み、気休めとも思ったが一応湿布はしつづけた。
でも、腰の片側のまん中あたりの痛みはつづいたまま。
「数年前に“ぎっくり腰で、どこでも良くならなかった数ヶ月にも及ぶ後遺症の痛み(ご本人談)”を1回で完全改善してくれた当院を思い出して」メールをくださったとのことでした。
見た目は、少し太り気味。でも、脂肪の下にはぶ厚い筋肉が隠されていて思い出しました。
1回で完全改善し、その後、再発防止のエクササイズを覚えたいと運動指導を1回お受けくださった方だったのです。
当院のいつもの施療手順にしたがい、まずは痛いとおっしゃる部分とその周辺部分のチェック。今回は腰の一ヶ所でしたので、骨盤の中のひとつの関節へと2種類、そして腰の骨にたいして2種類の関節内部機能回復調整法をおこなって、痛みは完全改善。
それだけで筋肉もやわらかくなってくれたので腰は終了。
つづけて最初のチェックで気になっていた、今回の腰痛の原因となったと考えられる部分の施療に入りました。
うつぶせに寝て触らせていただいたときに硬(かた)かった部分も、立ったまま動いていただいてのチェックで「つまった感じで圧迫感がある」とおっしゃった部分も同じ場所。
痛いとおっしゃっていた腰と同じ側の、でも腰ではなく胸の後ろあたりの背中の筋肉の盛り上がったところでした。
前回ご指導申し上げた腰の片側のストレッチをするとその時だけ痛みは消えたけれど、また半日も仕事(イスに座ったままでの、パソコン作業中心のデスクワーク)をしていると腰が痛くなったとのこと。
さすがに、腰に効く特殊で細かいストレッチも、胸の裏までには効きません。
背中の動きの悪さが解消できなかったので、もともとその背中の部分がある動作をしなければならなかったのにできなかったので、腰がその動きをしようとしたのです。
でも、腰はその動きが苦手だったので、負担がかかりすぎて痛くなってしまったというわけだったのです。
“ある動作”とは体を捻る(ひねる・ねじる)動作のこと。
「体を片側へと捻る動作をひんぱんにされませんか?」とすると驚いた表情に。
そのお答えには、こちらの方がもっとびっくりしてしまいました。
「ひじょうに捻る動作が多い中国拳法の流派の稽古をしています。それは、両側、どちらへも捻ります。でも、じつは長年居合いもやっているのですよ。もちろん、右手で刀を抜くので腰は左に、上半身は右に捻ります…」
動作チェックで想像した通りだったのです。
背中の部分に何らかの原因で小さな硬(かた)さができたのに、その状態で体を捻りつづけた。
最初は小さかった硬い部分が広がった。
ある位ていど大きくなると体を捻る動作が正しい形ではできなくなる。
腰が背中の部分の変わりに捻ろうとしてくれる。
でも、腰は捻るのが大の苦手。
可哀想に、背中を助けるために頑張った腰は痛くなってしまった。
私も小さい頃から武道や格闘技、そして30を過ぎてからは日本武術の稽古をつづけてきました。剣や杖や棒などの武器術でなく、素手で行なう武術でもいわゆる《腰を切る》動作、腰を一気に捻る動作が求められることが多くあります。
右も左も同じ回数と同じ強さで捻るということは少なかったはず。やはり、利き腕側を使うことが大部分。
動作においては、腕だけではなく、現在では体幹(たいかん)と呼ばれることが多い胴体(どうたい)。
そして体を捻るときにイメージとして一般的で効果があるとして使われるのが、“腰を切れ”とか“腰を捻れ”という教えですね。
イメージとしては正しいし、有益な教えです。“剣は手で抜くな。腰で抜け”という言葉は有名です。
でも、イメージとそのイメージのおかげで上手く動かせるようになる部分は別のところということもあるのです。
(まだまだ、続きそうなのでこの辺りでお休みをいただきます。つづきは、数週間以内に下記のリンクから飛べるようにいたします。しばらく、お待ちいただければと思います)