左右の“脚の長さ”の違いについて−2(含 骨盤の歪みの簡単なチェック方法と危険な結果のご紹介)
整体で脚の長さが違うと言われたとのことですから、座った状態でのチェックではなかったと思われます。
もっとも一般的なチェック方法ですね。
そのときに、両足の左右への倒れ方の違いもチェックされたのではないでしょうか?…というのは余談ですが…
現在では少なくなっているようですが、昔は「脚の長さ(?)が左右で大きく違っているから大変なことになる!」とお客様の危機感をあおるところが多くあったと記憶しております。
あくまでも、整体好きであちらこちらの治療院や施術院で体験を積み重ねた私個人の経験でのお話ですが、私は整体のセミプロとなってからも散々脅かされました。
小学校時代にはすでに「右が短足だ」などと、子供心にも、今考えると意味不明なうえに不愉快きわまりないことを言われた記憶があります。もっとも、そのときには腰が悪くなるとも言われましたが、いわゆる脊柱管狭窄症のひどい症状で右脚の部分的な麻痺まで生じて倒れるまで40年程度かかったことに。
まあ、予言としては外れたことには間違い無しでしょう。格闘技・武道・武術と体を使い過ぎるほど酷使していたのに40年間も腰はもったのですから…
さて、『足の長さが違っているから矯正しないと大変なことになる』というのは正しいのでしょうか?
少しだけ大げさな言い方をゆるしていただけるならば、「ヘルニアがあれば腰痛になる可能性がいくらか高まるかも知れない」というレベルの話だと考えていただいても問題無しと考えられるでしょう。
別の言い方をするならば、「脊柱管(せきちゅうかん:背骨の脊髄が通っているチューブ状の通り道)が狭窄(きょうさく:狭まって圧迫されている)と腰痛や間歇跛行(かんけつはこう:しばらく歩くと歩けなくなり、背中を曲げて少し休むとまた歩けるようになる)になったり、ひどい状態だと、排尿や排便がうまくいかなくなる可能性が高まるかも知れない」ということと同じなのです。
荒っぽい言い方にはなりますが。
ここで申し上げたいのは、「一般的に言われている脚の長さが左右で異なっていたとしても、腰痛や骨盤痛が出るか出ないかに付いては確かなことは言えない」ということなのです。
そして、脚の長さが左右で異なっている方の方が、全く同じ長さだという方よりもずっと多くいらっしゃるということ。
つまり、違っている方がふつうだとも言いきれるからなのです。
上記の話をまとめれば、「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)や椎間板(ついかんばん)ヘルニアをお持ちの方でも、腰痛や骨盤痛、そして間歇跛行とは無縁の生活を送っていらっしゃるかたが多くいらっしゃる」ということと同じだと考えていただいて問題ないと思われます。
やはり、多少の誇張をおゆるしいただけるならば、「通常いわれる“脚の長さ”に左右差があっても、すぐに腰痛になる可能性が少しだけ高まるだけだ」と申し上げさせていただきます。
当院では現在は骨盤の骨の位置を使って左右の歪みの比較させていただいております。ですから、脚の長さのチェックはいたしておりません。
ちなみに、院長が長年行なっていたのは踝(くるぶし)の位置での比較でした。この方法は正確に行なえば十分に役に立ちます。
ですが、お体の状態の都合でどうしても横になれないというお客様のばあいには座った状態でどうしても骨盤のチェックを行なわなければならないため、イスやベッドのはじに座った状態で脚の長さをチェックして参考にさせていただくこともございます。
ここではマニアックにならないていどに当院の院長がかつて学び、実際に10年ほど前まで使い続けてきて、いまだに体で覚えこんでしまっている技法の原理をさらっとご紹介しておきますので、お近くの病院や治療院、そして施療院や整体院を選ばれる際の参考になさってください。
・お尻の左右を比較して硬(かた)くなっている側の筋肉を解(ほぐ)すことで上下や左右の骨盤の左右対称を改善する方法。
・骨盤の左右の前後のズレを硬い側は伸ばし、柔らかいというか力が無い側は力が入りやすいよう、いわゆる神経の通りを良くする。
・脚の付け根の関節をそれぞれの状態におうじて左右異なる方法で動かすことで骨盤と脚を結ぶ筋肉を元の状態に戻す。
・脚の付け根の関節に向かって骨盤の状態に合わせた角度で脚を一瞬で押し込むことで骨盤の前後のアンバランスを解消する。
・骨盤の中にある関節に強い衝撃を一瞬で与えることにより緊張や収縮を解消し、柔軟性(じゅうなんせい)を回復させることで本来の正しい位置に戻す。
・セミプロ整体師時代からの30年間の経験の中で、個人的にはいちばん効果があり、「時間もかからず、お客様へのお体への負担も施療者の負担も最小限ですむ」と考えている、関節内部機能回復調整法。骨盤の上下のズレというよりも前後逆方向へと回転してしまっている部分を痛み無しで調整する手法。
ご縁のあるプロの施療者の方々へはセミナーの中で機会があるたびにご紹介申し上げてまいりました。そして皆さまから当院の“なぜ効くか?”という考え方にご納得いただけたしだいです。
これらの、いわゆる骨盤の矯正や調整や歪み解消で、見た目では足の長さが変わったとか戻ったといわれているのです。
やはり交通事故などの大きなケガや手術などで脚じたいの長さが変わっていない限りは、「脚の長さの違いの主な原因は、骨盤の左右や前後のアンバランス・骨盤のズレ・変移・歪み・アンバランス等々と呼ばれるものにある」ということになるのではないでしょうか?
最後にだそくとなるかも知れませんが、軽い足の長さの違いは両脚の筋肉の硬(かた)さが大きく異なっているばあいにも見受けられることがあります。特殊なスポーツなどで片脚ばかりを酷使なさっている方に多いようです。
そのばあいには、硬くなっている方の脚の硬くなっている筋肉、とくにふとももの筋肉を思い付く限り多くの筋肉にたいるストレッチングすることで十分に伸ばすと左右の長さが同じ状態へと戻ることがあります。
スポーツで頑張っていらっしゃる方は、一度左右の脚の筋肉の硬さをチェックなさり左右での違いが大きい場合には、1週間ていど硬い方の脚だけセルフ・ストレッチングをなさってはいかがでしょうか?
もちろん、ここでは脚の長さが実際には違わなかったり、ほんの少しの違いなのに、大きく違っているように見せるという、現在では使われることが少なくなっているテクニック(?)については言及を避けました。
可能性はひじょうに低いとは思われますが、質問者様がもし不安でしたら、しっかりとした評判の治療・施術・施療をなさるところでもう一度足の長さのチェックなり、骨盤のチェックをお受けになられることをおすすめ申し上げます。
ご質問への回答はここで終了いたしますが、一言だけ重要なことを繰り返させてください。
「骨盤に歪(ひず・ゆが)みがあるからといって、全ての方が腰痛で倒れるということはありません。ヘルニアをお持ちでも、太っていらっしゃっても腰痛を感じられない方がいらっしゃるのと同じです。腰痛には、多くの要素が複合的に影響してまいります」から。
ですから、とくに腰痛もお尻の痛みも骨盤痛も感じていらっしゃらなければ、骨盤を前後や上下、そして左右で対称になるよう歪みを矯正・調整する必要はないと思います。
まして、アーチェリーやゴルフ・剣道・剣術を初めとする体の使い方がきわめて左右非対称のスポーツや武術・武道をなさっていらっしゃるからという理由だけで、痛みや不具合をお感じにならないのに、矯正や調整を受ける必要はないというのが当院の考え方です。
たとえば当院では、お話をおうかがいしてからの改善レベルをふくめてのご相談の後、お体が左右非対称のままで痛みだけ改善させていただくケースは多くございます。
上記のスポーツや棒手裏剣をやられていらっしゃる方にも骨盤の歪みが原因でお体が少し捻った状態が多く見られたように記憶いたしております。
→ 左右の“脚の長さ”の違いについて−1 はこちらへ
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前回と今回で、いわゆる脚の長さが違うということの意味と実際のお体の状態、そしてそれが骨盤の歪みを意味すること。
また、骨盤の歪みが腰痛や骨盤痛の原因となる可能性を示唆(しさ)していることはあっても、すぐに直接的な原因とはなり得ないという主旨(しゅし)のお話をお伝えしてまいりました。
この記事をお読みになられて安心なさった方と、理屈はわかったが不安感がすこしだけ残ってしまった方がいらっしゃるのではないでしょうか?
脚の長さのことは気にしないで大丈夫だと思われた方にたいしては申し上げることはございません。疑問解消のお手伝いができて嬉しく思っております。
ですが、ふだんから少し腰や骨盤、あるいは脚の付け根や下半身に違和感を感じていらっしゃった方。
そして先週と今週のブログ記事を読んだせいで、「実際に自分は脚の長さの違いはヒドイ状態なのか? つまり、自分の骨盤の歪みはすぐにではなくとも、早めに処置した方が良いのか? あるいはしばらくの間はこのまま放っておいて大丈夫か?」と不安感が増してしまった方がいらっしゃるかも知れません。
不安感を煽(あお)る目的で記した記事ではないので、もしそう思われた方がいらっしゃるとしたら心から申し訳ないとお詫びもうしあげます。
言葉だけでのお詫びでは何の解決にもなりませんので、見た目の脚の長さにも影響してくるタイプの骨盤の歪みが有るか無いかをかんたんにチェックする方法をご説明申し上げます。
ご心配な方は、今すぐにでもお試しください。
1.その場で両足の幅を肩幅かそれより少しだけ狭くして、まっすぐに立ってみてください。
2.その状態から両脚は伸ばしたままで、上体の力を抜きながらゆっくりと体を前に倒してみましょう。
3.腰に手をあててもあてなくても構いませんので、今度は体を反らすように後ろへと倒してみましょう。
2のときに、腰、またはお尻に痛みが走ったり、お尻からふとももの裏側に線のように長さのある痛みを感じたり、痺(しび)れるような感じがあったら、できるだけ早く病院、治療院、施術院、施療院などで専門家のチェックや処置をお受けください。
ふとももの裏側やふくらはぎの筋肉だけが引っ張られて多少の痛みを感じたとしても今すぐにどうこうという問題はありません。でも、先々その筋肉の硬(かた)さが進んでしまうと、腰痛につながる可能性もあります。
当院でもっとも重要視している、つまり危険であると考えるのは、3でのチェックの結果です。
『骨盤と背骨の間、または腰の骨と骨の間に鋭い痛みが走る』、『骨盤の真ん中に縦に走っている骨が痛い』、『片方のお尻がすごく痛い』、『片方のふとももが痺(しび)れる』などが感じられたら、当院でなくともかまいません。
できるだけ早く専門家のチェックと処置をお受けください。症状が急激に悪化していく可能性もあります。
おどかすつもりはありませんが、『後に反ることができない』、あるいは『後に反ることは反れるが、意識して行っているのではないのに両肩が同じように後に行かず、体を捻りながら後に反った状態となっている』という方も要注意です。
鋭い痛みを腰やお尻や骨盤に感じられる方と同じていど、骨盤の歪みが進みお体に影響を与えている可能性も捨て切れません。
そういう方は、ご家族の方に依頼して、腰やお尻を押してもらってください。きっと、筋肉がいつもカチカチに硬くなっているのがふつうの状態となってしまっている可能性が考えられます。
腰痛や骨盤痛やお尻の痛み、そして当院のもうひとつの専門である肩こりに関しても同じことが言えます。
常日頃からお体の状態の変化を感じられるようご自身のお体と対話を心がけ、小さい変化が生じたらそくざにご自身で処置なさる習慣を付けられるのがベストではないでしょうか?