腰痛とそれが軽減するマット?−その1
最近、テレビショッピングの通販で目にすることが多い、腰痛が治ったとか肩こりが良くなったというキャッチコピーが印象に残る低反発マットレス。
その効果について質問いただくことが増えてきました。
数種類あるようですのでここでは特定の商品名の紹介だけは避けることにいたします。
宣伝広告で長所としてあげられていたものは3点。
・復元性:つぶれてもすぐに元の形に戻る。体をやさしく(?)しっかりと包み込んでくれるという意味なのでしょう。
・衝撃吸収性:夜中の寝返りで関節や痛みのある部分をぶつけても痛くないということ(?)。
・体圧分散性(たいあつぶんさんせい):腰痛や肩痛(かたいた)や膝痛(ひざいた)などで痛みを感じる部分への力の集中を避けるという意味だと思われます。
復元性とは、布団とのすきまができずにしっかりと布団に体が支えられているので、無駄な力は不必要となり体は楽になりますね。
2番目のの衝撃吸収性については、体をぶつけても痛くないということも重要ですが、このマットレスを使わなくても他の対処法も工夫できそうです。
このブログでは、腰痛や肩の問題に対して痛みを軽減してくれる効果が一番高いし、最も重要だと考えられる、3番目の《体圧分散性(たいあつぶんさんせい)》について考えてみることにしましょう。
あお向けという姿勢は、横向きやうつ伏せに比べて、体重が一部に集中する割合いが一番低いはずの寝方です。
それでも寝ることで腰が痛くなってしまうため困っていらっしゃる方は少なくないのです。
では、上を向いて寝たとき全身のどの部分にどのように体重がかかるのか、床ずれ*関係の資料を参考に見てみましょう。
*床ずれと聞くと大したことはなさそうだと思う方もいらっしゃるかも知れません。でも、専門用語では褥瘡(じょくそう)と呼ばれており、寝たきりの方や麻痺(まひ)によりご自身で寝返りができなかったり、寝たままの状態から体を動かす事ができない方は、体重が多くかかる部分の血行が悪くなるため、酸素と栄養が届かなくなってしまう。そのため、障害が生じたり壊死(えし)という細胞や組織が死んでしまうことさえある、きわめて危険なものだとも言えます。
まず最初に覚えておいていただきたいのは、背骨は前や後へと曲がっているのがふつうだということ。
そして、背骨の首の部分と胸の後ろの部分、そして腰の部分では、その曲がり方が異なっている。
首の部分は前の方向へ、胸の後ろでは後ろへ、腰ではまた前方向へと曲がっているのが背骨なのです。
後ろ方向へと曲がっているということはそこにより多くの体重がかかるということ。
問題はそれ以外にもあります。
背骨の曲がり以外にも骨が出っ張っている部分にはとくに体重が集中してしまうことになります。
腰が曲がり背中も丸くなっている猫背のお年寄りがあお向けになっている状態を想像いていただけばわかりやすいのではないでしょうか?
両肩の後ろにある肩甲骨(けんこうこつ)や腰骨(こしぼね)の真ん中の出っ張りをイメージしていただいてもイメージしやすいはずです。
背骨の後ろに曲がっている部分と骨が突き出ている部分に体重が多くかかることを忘れずに、体重の何パーセントがどこにかかるのかご覧ください。
・頭:後頭部の頭がい骨の出っ張り部分 7%
・お尻: 骨盤の上の左右の出っ張った部分、骨盤の真ん中を縦に走る骨、尾てい骨、両方のかたいイスに座ったときにあたる骨の両方、両方の脚の付け根の横に飛び出ている骨 44%
・膝の下から足先まで:膝の横の下側の骨、両方の外くるぶし、両足の外側の真ん中辺りにある骨のでっぱり、両方のかかと 16%
「もっともリラックスできるはずのあお向けに寝た場合でも、腰には体重の約半分近く(=44%)もの重さが集中する」ということなのです。
腰痛の方が、あお向けに寝ていても腰痛に悩まされ続けるというのはこの点に最大の原因があるとも言えましょう。
でも、ここでひとつはっきりと申し上げておきたいのは、上記の体重のかかる割合の計算のベースとなっているのは、《体に歪(ひず)みがなく左右のバランスが取れている状態》だということ。
私たちの体は、ていどの差こそあれ、左右のバランスがくずれていたり、ねじれている状態である方がふつう。
その結果、あお向けに寝たばあいには、平均的なバランスの取れた人よりも、体重のかかりやすい骨の出っ張り部分へと体重が集中してしまう。
私自身の個人的体験から申し上げても、“この世のものとは思えない、地獄があるとすればこれ以外にないとまで感じさせられてしまうほどの強烈な痛みを、腰やお尻のいくつかのポイントに感じつづけてしまう”のです。
当り前ですが、その地獄からの脱却は不可能・・・
寝苦しかったり、一時的に体の一部分に体重が集中しすぎて苦しいときに解消してくれる強い味方である《寝返り》による体圧分散(たいあつぶんさん)とそれによる血行回復ぐらいでは、一時的な痛みの軽減でさえ不可能となってしまう。
大げさではなく、《動いても、動かなくても、立っても、座っても、そして寝ているときでさえ、強烈な痛みに苛(さいな)まれつづける》という負のスパイラルへとおちいってしまうのです。
このブログをお読みくださっている方ののなかには、低反発マットレスは買いかどうか迷っていらっしゃる方もいらっしゃるかも知れませんね。
ちょっと寄り道して、元酷い腰痛持ちの個人的な感想を申し上げておきます。
「この宣伝文句を100%信じるならばですが、寝ている間というか、夜寝るたびに体の悪い部分、痛いところ、疲労しきっているところをより悪くさせるということはストップできる」ということ。
「元々お持ちの腰痛を改善したり、解消しているのではなく、悪化を食い止められるようになったことを良くなったと感じているのだろう」と思えるのです。
「取りあえず、今感じていらっしゃる、人に話しても理解してくれないほどの酷い痛みやメンタルがおかしくなってしまいそうだと思っている腰痛などが、少しでも減ってくれ、眠れる時間がわずかでも伸びてくれれば天国だ!」と昔の私とおなじように考えていらっしゃるならば手に入れられても後悔はなさらないでしょう。
私が困っていた最中に出会っていたら、そくざに購入していたはずですし・・・
でも、どうでしょう?
マットレスを購入して一息ついてから、ご自身の腰の痛みと正面から向き合われてはいかがでしょうか? → 腰痛とそれが軽減するマット?−その2はこちらへ